おうち時間が増えたことにより、自宅でもエスプレッソマシンを使ったコーヒーを飲んでいるという人が増加しています。
「カフェで飲むような、本格的なラテやアメリカーノを作りたい!」
「美味しいエスプレッソ抽出のコツが知りたい!」
そんな悩みを持つ人も多いでしょう。
今回は、おうちカフェを楽しむために必要なエスプレッソの知識を、バリスタ歴4年の筆者が解説していきます。
そもそもエスプレッソって何?
エスプレッソとは、イタリア語で「特急」「急速」を表す言葉。
その名の通り、コーヒー豆に圧力をかけて一気に抽出した飲み物です。
短時間で抽出するため雑味が出ず、旨味成分のみを楽しむことができます。
本場イタリアでは出勤前にカフェに立ち寄り、エスプレッソをササッと飲む文化があるとか。
現地では、ドリップコーヒーよりも親しまれているドリンクのようです。
完璧なエスプレッソは、ハチミツのようななめらかさとカラメルのような甘さがあるものと言われています。
豆や水の量についてはマシンやお店によって異なりますが、ここではスターバックスコーヒーの例を見てみましょう。
スターバックスの場合、エスプレッソ1杯分の分量は30mlです。
30mlのエスプレッソを抽出するために、コーヒー豆を7g・水を45ml使用します。
水の一部がコーヒー豆に吸収されるので、最終的に抽出できるエスプレッソは30mlになります。
一方ドリップコーヒーの場合は、コーヒー豆10gにつき180mlの水を使用しています。
このことからもわかるようにエスプレッソとは、コーヒー豆をたっぷり使用した贅沢な飲み物なのです。
ここで面白い豆知識をご紹介します。
エスプレッソショットは、ダブルショット(2ショット)分を一気に抽出すると味が安定するため、ダブルで落とすことが多いそうです。
もちろん、スターバックスでもエスプレッソを飲むことができます。
エスプレッソは、朝の時間帯に人気のメニューだそうです。
しかも1ショットではなく、2ショット分の「ドピオ」をご注文される方の割合が多いとか。
中には、「ドピオ」からさらにショットを追加される方もいるそうです。
スターバックスでは好きなだけショットを追加できるので、ぜひバリスタに聞いてみましょう。
エスプレッソは90%水からできている
コーヒー豆をたっぷり使用したエスプレッソですが、実は90%が水からできています。
コーヒーの味わいが強いのにも関わらず、水が主成分とは驚きです。
さらにドリップコーヒーに至っては、99%が水から生成されているのです。
コーヒーを抽出する際は、ついつい豆の種類や焙煎具合などに気を取られてしまいますが、実は水もかなり重要ですね。
美味しいコーヒーを淹れるために、これからは水質にもこだわっていきましょう。
水には硬水と軟水の2種類がある
そもそも水には、硬水と軟水という2つの種類があります。
マグネシウムの濃度が濃い方が硬水・薄い方が軟水という分け方をしています。
日本では、1リットルあたり100ppm(mg)以上か以下かが判断基準です。
この基準は国や公的機関によってさまざまで、WHO(世界保険機関)では120ppm(mg)を分類基準としています。
1. 柔らかく飲みやすい軟水
硬水と軟水は、それぞれどんな味わいなのでしょうか。
軟水は、柔らかくてまろやかな飲み口が特徴です。
ミネラル分が少ないため飲みやすく、ゴクゴク飲むことができます。
軟水は旨味成分をしっかりと引き出してくれるので、料理にも使いやすいという特徴があります。
そもそも私たちが飲んでいる日本の水道水は、ほとんどが軟水です。
しかし興味深いことに、硬度は地域や浄水場・季節によっても異なるようです。
例えば千葉県の場合、ミネラル分が1リットルあたり198mgであるのに対し、岡山県では1リットルあたり115mgです。
このように日本国内でも違いがあるのは、面白いですね。
2. ヨーロッパなどで主流の硬水
硬水の特徴は、その独特な口あたりです。
マグネシウムを多く含むため、苦味を感じたり飲みづらさを覚える人もいます。
しかしミネラル分が豊富なため、ミネラル不足解消という健康目的で飲む人も多いようです。
硬水は、ヨーロッパで主流の水質です。
海外旅行に行って、髪を洗うとゴワゴワとパサついた経験がある人もいるのではないでしょうか。
それは、硬水のミネラル分が原因だと言えるでしょう。
水の硬度とエスプレッソの味の関係性
水には硬水と軟水があり、それぞれの特徴がわかりました。
当然どちらの水を使うかによって、エスプレッソの味わいもかなり異なってきます。
詳しくみていきましょう。
軟水で抽出したエスプレッソ
水の性質どおり、エスプレッソもなめらかな味わいになります。
ミネラル成分が少ないため、香りや風味がうまく抽出されやすいという特徴もあります。
また硬水と比較すると、酸味が引き立つ味わいになります。
硬水で抽出したエスプレッソ
硬水を使うと、酸味がなく苦味が引き立つエスプレッソになります。
豊富なミネラル分が、コーヒー豆の風味や繊細な味わいを抽出しづらくしてしまうようです。
その一方でエスプレッソならではの、力強い味わいが楽しめるというメリットもあります。
それぞれの水を使って、違いを楽しむのもよいですね。
エスプレッソの抽出には軟水がおすすめ
硬水と軟水を使ったエスプレッソには、それぞれ特徴があることがわかりました。
「結局のところ、どっちの水を使えばいいの?」という疑問が出てくるかもしれません。
結論から言うと、エスプレッソの抽出には軟水を使うことをおすすめします。
理由は2つあります。詳しく解説していきましょう。
軟水の方がバランスの取れた味わいを楽しめる
軟水は水の成分がエスプレッソの抽出を妨げないため、バランスの取れた深い味わいを楽しめます。
コーヒー豆は、産地や焙煎具合によって特徴が異なりますね。
それぞれの豆の違いをしっかりと引き出し、味わいの特徴を楽しむためには、軟水を使うとよいでしょう。
硬水を使うとエスプレッソマシンの故障の原因になる
硬水には、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
そのため硬水を使い続けると、エスプレッソマシン内でミネラル分が堆積してしまうのです。
マシン内に残ったミネラルは白く石灰化してしまい、故障の原因になります。
この点が、硬水ではなく軟水を使うべき最大の理由です。
エスプレッソマシンを長く大切に保つために、水質にこだわるべき理由があるのです。
蒸留水を使うことで解決できる?
「軟水ではなく、蒸留水を使ってもいいのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし蒸留水をエスプレッソに使用すると、シンプルすぎる味わいになってしまいます。
そもそも蒸留水とは、ミネラルなどの不純物を完全に取り除いた水のことです。
蒸留水のようにミネラル分がなさすぎると、コクや旨味を逃してしまい美味しいエスプレッソが抽出できないのです。
ミネラル分が適量含まれている水を使うことが、完璧なエスプレッソに必要だと言えるでしょう。
自分の地域の水質を調べてみよう!
水質は、エスプレッソの味わいに影響を与えることがわかりました。
そして硬度が高い水は、エスプレッソマシンにとっても良くないですね。
大切にマシンを使い続けるためにも、自分の地域の水質を調べてみませんか?
水質を調べるためにおすすめのアイテムが、「水硬度チェッカー」です。
ペーパーに記載されている色を使って、簡単に硬度を確認することができます。
1パックで10回も水質チェックができるので、コスパもよい商品ですよ。
硬度が高い場合はフィルターを使って軟水化しよう!
「水硬度チェッカー」を使ってみて硬度が100ppm以上の場合は、硬水ということになります。
硬水だった場合は、フィルターを使って軟水化することで、マシンに優しい水を生成することができます。
おすすめのアイテムは「軟水化パッド」です。
この商品はミネラル分を完全に除去せず、不必要なミネラルだけを取り除くことができます。
使い方はとても簡単。容器に水とフィルターを入れて、一晩漬けておくだけです。
この一手間が、美味しいエスプレッソを抽出するカギと言えるでしょう。
ぜひ使ってみましょう。
エスプレッソは90%水からできており、美味しいエスプレッソを抽出するためには、水が重要だとわかりました。
豆の味わいを引き立たせ、マシンの故障を避けるためにも、硬水ではなく軟水を使うことをおすすめします。
硬度が分からない場合は、ご紹介した商品を使ってぜひ水質をチェックしてみてくださいね。
今回学んだエスプレッソの知識を活かして、本格的なおうちカフェを楽しみましょう。