小規模カフェ、コーヒースタンド、古民家カフェ、自家焙煎店、イタリア料理店、キッチンカー、パン屋、焼き菓子店などで、
「ラテやエスプレッソメニューを始めたい」と考える方が増えています。
しかし実際には、家庭用と業務用の違い、100Vで使えるのか、どのくらいの規模なら業務用が必要なのか、
グラインダーまで含めた予算配分など、分からないことも多いと思います。
この記事では、小規模カフェ向けにエスプレッソマシン導入で失敗しないための考え方を解説します。
なぜ小規模カフェでエスプレッソメニューを導入する店舗が増えているのか
エスプレッソマシンは、単なるコーヒー機器ではありません。
お店の売上、客単価、リピート率にも関わる重要な設備です。
客単価アップにつながる
ドリップコーヒーだけの場合、500円前後になることが多いですが、
ラテやカプチーノを提供できるようになると、600〜800円の商品を作りやすくなります。
- カフェラテ
- カプチーノ
- フラットホワイト
- アフォガート
このように、エスプレッソを使ったメニューが増えることで、客単価アップにもつながります。
インバウンド需要の増加
近年は海外からの観光客も増えており、コーヒー文化のある国から来たお客様が、
カフェラテやカプチーノを注文するケースも珍しくありません。
実際に古民家カフェや観光地のカフェでは、
「ラテはありますか?」と聞かれる機会が増えています。
ラテメニューがないことで、本来注文していただけたはずのお客様を逃してしまうケースもあります。
店舗の魅力を高めやすい
古民家カフェや自家焙煎店では、エスプレッソメニューを加えることで、
お店の個性をさらに打ち出しやすくなります。
イタリア料理店では食後のエスプレッソ、自家焙煎店では自社焙煎豆を使ったラテやアフォガートなど、
既存の強みを活かした展開もしやすくなります。
小型の業務用エスプレッソマシンとは?|100V・省スペースで導入しやすい理由
小規模カフェ、コーヒースタンド、パン屋、焼き菓子店、キッチンカーなどでは、
大型の2グループ業務用マシンではなく、
「小型の業務用エスプレッソマシン」が選ばれることがあります。
一般的に小型業務用エスプレッソマシンとは、次のような特徴を持つ機種を指します。
- 幅30cm前後の省スペース設計
- 100V対応で導入しやすい
- タンク式または簡易給排水で使える
- 1〜2名での営業に向いている
- 小規模店舗のラテ・カプチーノ提供に対応しやすい
大型の業務用マシンと比べると、設置スペースを抑えやすく、
電気工事が不要な場合もあるため、初めてエスプレッソメニューを導入する店舗でも検討しやすいのが特徴です。
一方で、ピーク時に1時間30杯以上の注文が集中する店舗や、
スタッフ複数名でエスプレッソメニューを中心に提供する店舗では、
本格的な業務用マシンの方が適している場合もあります。
そのため、エスプレッソマシン選びでは「1日の販売杯数」だけでなく、
「ピーク時に何杯連続で提供する必要があるか」を基準に考えることが重要です。
最初に考えるべきは「1日の杯数」より「ピーク時の注文数」
エスプレッソマシン選びでよくある失敗が、1日の販売杯数だけで考えてしまうことです。
例えば、1日30杯を営業時間中に分散して販売する店と、
昼の1時間で20〜30杯集中する店では、必要な設備が全く異なります。
ピーク1時間で10杯前後
比較的余裕があります。家庭用上位機や小型マシンでも対応できる場合があります。
ピーク1時間で15〜20杯
小型業務用マシンが活躍するゾーンです。
ラテを出す場合は、抽出の安定性とスチーム能力が重要になります。
ピーク1時間で20〜30杯
マシン性能だけでなく、オペレーションやスタッフ体制も重要になります。
1人営業の場合は、かなり忙しくなる可能性があります。
ピーク1時間で30杯以上
本格業務用マシンも比較対象になります。
ラテが主力商品になる場合は、2グループ機も検討した方が安心です。
ラテは想像以上に時間がかかる
エスプレッソ1杯だけなら比較的短時間で提供できます。
しかしラテの場合は、抽出だけでは終わりません。
- グラインド
- タンピング
- 抽出
- ミルクスチーム
- 注ぐ
- 洗浄
そのため、「エスプレッソ30杯」と「ラテ30杯」では、
マシンへの負荷もオペレーションの大変さも大きく異なります。
実は最初からラテアートをやりたい人ばかりではない
最初は、エスプレッソを活用したメニューから始める店舗も少なくありません。
- エスプレッソ
- アメリカーノ
- アフォガート
- エスプレッソトニック
- プロテインコーヒー
- コーヒーカクテル
特に自家焙煎店やイタリア料理店では、まずはエスプレッソを安定して提供したいという相談も多くあります。
エスプレッソだけを連続抽出する場合は、スチームミルクを大量に作る必要がないため、
ラテ中心の営業よりもマシンへの負荷は比較的少なくなります。
しかし営業を始めるとホットラテを追加したくなる
実際には、最初は「エスプレッソだけで十分」と考えていた店舗でも、
数か月後には「ホットラテも出したい」となるケースがあります。
冬場になると、カフェラテ、カプチーノ、フラットホワイトの需要も増えるためです。
開業時点ではエスプレッソ中心でも、将来的にホットラテを提供できるかどうかは考えておいた方が安心です。
見落としやすい「機会損失」
エスプレッソマシン選びでは、本体価格ばかりを気にしてしまうことがあります。
しかし実際には、売れたはずの売上を逃すことの方が大きな損失になる場合があります。
- ラテを出したかったが能力不足
- 注文が重なると提供が遅れる
- ホットラテを追加できない
- 「ラテありますか?」に対応できない
これは故障ではありませんが、経営的には大きな機会損失です。
特に観光地や古民家カフェでは、
「最初からラテを出せる環境にしておけばよかった」というケースもあります。
小規模カフェでよくある失敗
失敗① 最初はエスプレッソだけの予定だった
開業当初は、エスプレッソ、アフォガート、エスプレッソトニックだけを考えていた店舗も少なくありません。
そのため、ROK、Flair、家庭用マシンなどを検討するケースもあります。
しかし実際に営業を始めると、お客様から「カフェラテはありますか?」と聞かれることがあります。
特に観光地や古民家カフェでは、ラテメニューを希望されるお客様も少なくありません。
エスプレッソ中心で始める場合でも、将来的にラテを提供する可能性があるかどうかは考えておくことをおすすめします。
失敗② マシンに予算を使いすぎた
開業時はエスプレッソマシンに目が向きがちです。
確かにマシンはお店の顔になる設備です。
しかし、エスプレッソの味や再現性に大きく影響するのはグラインダーです。
高額なマシンに予算を集中させた結果、グラインダーの予算が不足してしまうケースがあります。
失敗③ 1日の販売数だけで判断した
「1日30杯程度だから大丈夫」と思っていたものの、
実際には12時〜13時に15杯以上、イベント時には30分で10杯以上の注文が集中することがあります。
エスプレッソマシン選びでは、1日の販売数だけでなく、
ピーク時に何杯連続で作る必要があるのかを考えることが重要です。
失敗④ グラインダーを後回しにした
エスプレッソを始めたばかりの頃は、どうしてもマシンに注目してしまいます。
しかし営業を始めると、毎回触るのはグラインダーです。
- 挽き目調整
- 抽出時間の調整
- オペレーション
- 作業効率
実際には、グラインダーを買い替えたことで、味や作業効率が大きく改善することも珍しくありません。
失敗⑤ 将来の営業スタイルを考えていなかった
開業当初は1日10杯程度、1人営業、エスプレッソ中心の予定だったとしても、
営業を続ける中で状況は変わります。
- ラテが人気になる
- 客席が増える
- スタッフを雇う
- 営業時間を延ばす
現在の営業スタイルだけでなく、半年後や1年後にどのようなお店にしたいのかも考えながら設備を選ぶことをおすすめします。
失敗⑥ 実機を見ずに購入した
スペック表だけでは、スチームの強さ、グラインダーの音、サイズ感、清掃のしやすさ、給水方法までは分かりません。
可能であれば、実際に触ってから判断することをおすすめします。
100Vと200Vどちらを選ぶべきか
100Vのメリット
- 電気工事不要
- 導入しやすい
- キッチンカーでも使いやすい
- 小規模店舗に向いている
200Vのメリット
- 連続抽出に強い
- スチーム能力が高い
- 大量提供向き
- 本格業務用マシンを選びやすい
重要なのは、店舗規模に合った設備を選ぶことです。
100Vでも小規模カフェには十分な場合がありますが、ピーク時に大量注文が入る店舗では200V機も検討した方が安心です。
実はマシンよりグラインダーの方が重要な場合もある
エスプレッソの味は、マシンだけで決まるわけではありません。
グラインダーによって、味、抽出速度、再現性、作業効率は大きく変わります。
予算100万円なら、高いマシンが正解とは限らない
例えば予算が100万円ある場合、高価なエスプレッソマシンに予算を集中させる方法もあります。
しかし、その結果としてグラインダーの予算が不足すると、日々の営業でストレスを感じることがあります。
小規模カフェでは「マシン+良いグラインダー」の組み合わせが現実的
高額なマシンとエントリークラスのグラインダーよりも、
小型業務用マシンと業務用グラインダーの方が、結果として満足度が高くなるケースもあります。
限られた予算の中では、マシン単体のグレードだけでなく、
グラインダーを含めた全体のバランスを見ることが重要です。
グラインダーは長く使える資産
エスプレッソマシンは、店舗の成長に合わせて買い替えることがあります。
一方で、業務用グラインダーは長期間使い続けられることが多く、
将来的にマシンを入れ替えても継続して使える場合があります。
メーカーのスペックだけでなく実際の連続抽出性能も確認する
エスプレッソマシンを比較するとき、ボイラー容量や消費電力を見る方は多いですが、
実際の営業では「連続して何杯作れるか」も重要です。
特にラテメニューが中心になる場合は、抽出だけでなくスチーム能力も影響します。
実際の連続抽出動画を確認してみる
カタログスペックだけでは分からないため、実際に連続抽出している動画を確認することをおすすめします。
例えば、De’Longhi Stilosa、Gaggia Classic Evo Pro、Rancilio Silvia Pro Xを比較した動画では、
実際に複数杯のラテを連続で作りながら検証しています。
実際の店舗営業では接客や会計もあるため単純比較はできませんが、
「ピーク時にどの程度対応できそうか」をイメージする参考になります。
小規模カフェで比較されることが多いエスプレッソマシン
機種名だけで選ぶのではなく、どのタイプのマシンが自分のお店に合うのかを考えることが重要です。
家庭用上位モデル
少量提供やテスト導入に向いています。
- Rancilio Silvia
- デロンギ スペシャリスタ
- Gaggia Classic Pro
小型デュアルボイラーマシン
小規模カフェ、古民家カフェ、自家焙煎店、コーヒースタンド、イタリア料理店などで候補になりやすいタイプです。
- Rancilio Silvia Pro X
- La Marzocco Linea Micra
- La Marzocco Linea Mini
ヒートエクスチェンジャー(HX)マシン
ラテ中心の営業や、将来的に杯数を伸ばしたい店舗で候補になります。
- Lelit Mara X
- Rocket Appartamento
- VBM Domobarシリーズ
本格業務用マシン
ピーク時1時間20〜30杯以上、スタッフ複数人、ラテが主力商品になる場合は検討したいタイプです。
- Rancilio Classe 5
- Nuova Simonelli Appia Life
- La Marzocco Linea Classic
結局どのタイプがおすすめ?
1日10杯以下の場合
パン屋、焼き菓子店、週末営業、副業カフェなどでは、家庭用上位モデルから始める選択肢もあります。
1日10〜20杯程度の場合
古民家カフェ、小規模カフェ、自家焙煎店では、小型デュアルボイラーマシンが候補になります。
ホットラテやカプチーノも提供したい場合は、このクラスから検討すると安心です。
1日20〜30杯程度の場合
コーヒースタンド、自家焙煎店、イタリア料理店では、小型デュアルボイラーやHXマシンが候補になります。
ピーク時の注文数も考慮しながら選ぶことが重要です。
ピーク時1時間20〜30杯以上の場合
人気店、観光地、スタッフ複数人で運営する店舗では、本格業務用マシンも検討した方が安心です。
業態別おすすめ構成
古民家カフェ
客席10〜30席程度、観光客の来店が多い店舗では、小型デュアルボイラーマシンと業務用グラインダーの組み合わせが候補になります。
自家焙煎店
豆販売が中心の店舗では、エスプレッソで豆の個性を表現できるグラインダー選びが重要です。
イタリア料理店
食後のエスプレッソやアフォガート中心の場合、HXマシンと業務用グラインダーの組み合わせも候補になります。
キッチンカー
100V環境、限られた作業スペース、発電機運用を考慮し、設置スペースと消費電力の確認が重要です。
コーヒースタンド
テイクアウト中心でピーク時間に注文が集中するため、提供スピードとグラインダー性能も考慮して選ぶことをおすすめします。
小規模カフェが最初に目指したい数字
エスプレッソマシンは決して安い買い物ではありません。
そのため、「何杯売れば元が取れるのか」と考える方も多いと思います。
例えば、ラテ販売価格700円、コーヒー豆20g・牛乳などの原価を約100円とすると、
1杯あたりの粗利は約600円になります。
1日10杯の場合
600円 × 10杯 = 6,000円。25日営業の場合、約15万円の粗利です。
1日20杯の場合
600円 × 20杯 = 12,000円。25日営業の場合、約30万円の粗利です。
1日30杯の場合
600円 × 30杯 = 18,000円。25日営業の場合、約45万円の粗利です。
実際には家賃、人件費、光熱費、決済手数料、消耗品などもかかります。
しかし、小規模カフェでは「まずは1日20杯前後のラテを安定して販売できるか」がひとつの目標になることもあります。
よくある質問
Q. 100Vでもカフェ営業できますか?
はい。ピーク時の注文数にもよりますが、小規模カフェや古民家カフェ、キッチンカーでは100Vマシンが導入されているケースもあります。
Q. キッチンカーでもエスプレッソマシンは使えますか?
可能です。
ただし、キッチンカーの場合はエスプレッソマシン本体だけでなく、
グラインダー、冷蔵庫、製氷機、照明なども同時に使用するため、
電源容量の計算が重要になります。
特に、
「2000Whのポータブル電源なら1日営業できる」
と考えてしまうケースがありますが、
実際にはインバーター効率や他の機器の消費電力も考慮する必要があります。
キッチンカー向けの電源容量については、
以下の投稿で詳しく解説しています。
Q. 最初はエスプレッソだけでも大丈夫ですか?
問題ありません。ただし営業を続けるうちにホットラテを提供したくなるケースもあるため、将来の拡張性も考慮することをおすすめします。
Q. 家庭用マシンでも営業できますか?
販売杯数によっては可能です。ただし、連続抽出性能、スチーム能力、耐久性を考えると、小規模カフェでは小型業務用マシンが選ばれることもあります。
Q. グラインダーは後から買い替えても良いですか?
もちろん可能です。ただしエスプレッソの味や抽出の安定性はグラインダーの影響が大きいため、
最初からある程度良いグラインダーを選ぶ方が結果的に満足度が高くなることもあります。
実際の導入事例を見る
スペック表だけでは分からないこともあります。
小規模カフェ、コーヒースタンド、古民家カフェ、自家焙煎店、イタリア料理店、キッチンカー、パン屋、焼き菓子店など、
実際の導入事例を見ることで、自分のお店に近いケースを参考にできます。
→ 導入店舗一覧を見る