―エスプレッソマシンを長く使うために知っておきたいこと
1. 「日本の水はほぼ軟水だから大丈夫」…は本当?
日本の水道水は、多くの地域で硬度50以下の軟水に分類されます。
「だから石灰の心配はない」「メンテナンスは不要」と思われがちですが、これは半分正解で半分間違いです。
実際には、軟水でもマシン内部が詰まるケースがあります。
その理由は、水質の成分や配管の経年劣化、そして水道処理の仕組みにあります。
2. 水道水に潜む3つのリスク
2-1. 配管の経年劣化
ご家庭や店舗に届く水は、必ず配管を通ってきます。
この配管が築数年と築10年以上では、水質がまったく異なることがあります。
古い配管では、錆や微細な汚れが混ざることがあり、それがボイラー内部で堆積します。
2-2. 水道局ごとの水質差
同じ軟水でも、水道局によって成分や残留物の量は異なります。
地下水を多く使う地域ではミネラル分が多め、河川水主体では不純物の傾向も違います。
その違いは、コーヒーの味だけでなく、マシンの寿命にも直結します。
2-3. 残留塩素の影響
日本の水道水には、法律で塩素(次亜塩素酸ナトリウム)が必ず添加されています。
これは殺菌のためで、蛇口から出る時点で0.1〜1.0mg/L程度が含まれています。
塩素は金属部品の腐食やゴムパッキンの劣化を早めるほか、
コーヒーの香りや風味を損なう原因にもなります。
3. 実際の詰まり事例
下の写真は、1年間水道水を使用したエスプレッソマシンの内部です。
ボイラーや配管に沈殿物が蓄積し、水の流れを妨げています。



このマシンは、ペットボトル水や浄水器を通さずに使用していた可能性が高く、
わずか1年でここまで汚れが進行しました。
4. 防ぐための対策
- 浄水器の利用
残留塩素や微細な不純物を除去するため、設置型またはポット型の浄水器を活用します。
- 水質測定
お住まいの地域の硬度・成分を知ることで、より適切なメンテナンス計画が立てられます。
(関連記事:エスプレッソに適した水質と軟水化の方法)
- 定期メンテナンス
どれだけ気をつけても、内部は少しずつ汚れます。
年1回の分解清掃が、故障防止と寿命延長の鍵です。
5. 定期メンテナンスでマシン寿命を延ばす
アルファエスパスでは、33,000円(税込)〜で定期メンテナンスを承っています。
Rancilio Silvia Pro Xはもちろん、他メーカーのエスプレッソマシンも対応可能です。
まで行い、マシンを新品に近い状態へリフレッシュします。
→ 定期メンテナンスの詳細はこちら
6. まとめ
- 日本の水は軟水でも「配管劣化」「水質差」「残留塩素」によるリスクがある
- 硬度だけでなく、不純物や化学成分もマシンの寿命に影響する
- 浄水器+定期メンテナンスの併用で、長期安定運用が可能
水質への配慮とメンテナンスの両輪で、
大切なマシンを何年も快適に使い続けましょう。