焙煎したてのコーヒー豆で抽出したエスプレッソとスチームミルクを混ぜ合わせたカプチーノ。
欧米のカフェ文化では中心的存在ですが、ここ数年のパンデミックの影響によって多くの人が自宅で過ごすようになり、家庭で使えるエスプレッソマシンへの関心が一気に高まりました。
今回は価格帯、機能、性能、技術、作りがさまざまな家庭用エスプレッソマシンを6週間にわたりテストした結果から導き出された、ベスト オブ ~のマシンをそれぞれご紹介します!
エスプレッソマシンを知ろう!
さまざまなモデルを見る前に、エスプレッソマシンを構成する主な要素を確認していきましょう。
検討するモデルにどんな特徴や能力があるのか、より理解が深まるはずです。
挽いた豆に圧力をかけたお湯を通し、高濃度のコーヒーを抽出するエスプレッソマシンは20世紀初頭、イタリアで開発されました。
当初はカフェのスピードアップや生産性向上を目的としていましたが、120年以上の時を経て、小型化されたものが家庭用家電として普及。
家庭でも楽しめるようにするため、抽出に必要な部品を小型化するためのさまざまな技術が採用されています。
グループヘッド
ブリューグループ、ブリューヘッド、または単に「グループ」とも呼ばれ、実際にコーヒーを淹れる場所です。お湯はボイラーからグループを通って、ポルタフィルターに流れ込みます。
グループヘッドには、時間が経つとコーヒーの微粉や油分が付着するため、カフィーザ(Cafiza)などの洗剤を使用して、定期的に分解、洗浄します。
ポルタフィルター
ハンドルに取り付けられたカップ状の容器で、注ぎ口があり、グループに入れるものです。
フィルターバスケットを入れる円形のホルダーで構成され、中にある小さなピンホールから抽出されたエスプレッソショットが注ぎ口に流れ込みます。
ポータフィルターには、業務用機器で使用される58mmや、54mmなどメーカー独自の様々なサイズや規格があります。
大きなバスケットに対応するためのボトムレスポータフィルターもあると便利です。利点としてスパウトがないのでクレマが潰れにくかったり、流れが見えるのでエスプレッソの技術向上に繋がったり、お手入れも簡単で済みます。一番の良い点は癒し効果がある、でしょうか。
シングルスパウトポルタフィルター
ボトムレスフィルター
タンパー
タンパーは、ポータフィルターのバスケットの中でコーヒー粉を圧縮するために使用します。
タンピングを行うことで、コーヒー粉を均一かつ密に詰めることができ、エスプレッソショットに必要な圧力を発生させるのに十分な抵抗が生み出します。
タンパーには、かかる圧縮力を制限するもの(キャリブレーション)とそれがなく感覚で作業するもの、形状には平らなものと凸状のものがあります。
レベリング(粉を平らにならす)ツールや、
ショットにもっと多くのコーヒーを入れたい場合は、VSTと言われる形状のバスケットに変更する場合もあります。
ポンプ
ポンプはエスプレッソマシンのいわば心臓です。配管された循環システムを通して水を動かし、発熱体や交換システムを経てグループヘッドに送り込みます。
一般的なエスプレッソマシンには、金属コイル内に設置された磁石に取り付けられたピストンを使用する、バイブレーション式ポンプが搭載されていることがほとんどです。
今回紹介するマシンはすべてバイブレーションポンプを使用していますが、いわゆる「プロシューマー」マシンやプロ用の高度なモデルには、より静かで大きいロータリーポンプが使用されています。
バイブレーションポンプは、1秒間に約60回の振動で水を押し流します。寿命は使用状況にもよりますが、3~5年程度と言われています。
ロータリーポンプ
バイブレーションポンプ
サーモブロックとサーモコイル
サーモブロックは、水タンクに入っている常温の水をエスプレッソ用だと93℃前後、スチーム用に120℃前後まで上昇させる部品です。狭い通路を通る水をコーヒーの抽出温度(90℃~)に加熱する電気素子が埋め込まれた金属の固まりです。真鍮やアルミニウムなど様々な素材で製造され、品質や性能も様々なものがあります。
サーモコイルは、コイル状の発熱体に囲まれた金属管を通過する水を加熱する仕組みで、同様の働きをします。
エスプレッソマシンにボイラーではなくサーモブロックやサーモコイルを使用する主な利点は、非常に速く加熱できることです。
サーモブロックを使用したマシンの中には、電源を入れてからわずか2、3分で抽出できるものもありますが、従来のボイラー設計の多くは、最適な温度になるまでに15分以上かかるものが多くあります。
サーモブロックとサーモコイルは、安定した水温と安定したドライスチームを作り出し、手の届きやすい価格で、エネルギー効率が高く、コンパクトな設計を可能にします。
デュアルボイラーとその上位機種であるオラクルを除くBrevilleのほとんどのモデルはサーモコイルを使用したシステムです。
サーモブロック
サーモコイル
ボイラー
こちらもサーモブロック同様、水タンクに入っている常温の水をエスプレッソ用だと93℃前後、スチーム用に120℃前後まで上昇させる部品です。銅、ステンレス、真鍮、アルミニウムなどの断熱材でできた金属製の容器です。発熱体を用いて水をエスプレッソ抽出温度(90~96℃)またはスチーム温度(120℃以上)で使用できるようにします。
ヒートエクスチェンジャーがないシングルボイラーシステムでは、抽出温度からスチーム温度への変更が必要で、10分ほどかかることもあります。逆にスチーム温度まで上がったボイラーは抽出温度まで冷めるのを待つ必要も生じます。適切でない温度は味を悪くする原因になります。 おすすめはスチームを先に行い温度が下がるのを待ってエスプレッソを抽出する順番です。理由はボイラーの温度が下がるのを待つ方が早いからです。次にランチリオのシルビアの説明書にも記載されていますがスチームを先に行ってからエスプレッソの抽出をしてくださいと記載してありますがマシンのボイラー内の空焚きを防止する意味合いもあります。
ヒートエクスチェンジャーを備えたマシンでは、ボイラーはすぐにスチームできる高い温度で保たれ、抽出の際はスチームボイラーの中を通過するか、その周りを通るコイル状のチューブによって間接的に加熱して使用します。
本体を一定時間アイドル状態にした場合は、温度が高すぎるお湯を60~120mlほど流して(フラッシュ)からショットをする必要があります。
2つのボイラーがあるデュアル(ダブル)ボイラーのマシンでは、それぞれのボイラーが抽出温度とスチーム温度に保たれます。
つまり、ショットとスチーム(またはその逆)をすぐに行うことができる状態になるため、一度に何杯も作ることができます。
ボイラーを搭載したエスプレッソマシンでは、定期的なメンテナンスとして、専用のクリーナーを使ったボイラー内部のスケール(石灰)除去が必要です。
シングルボイラー
ダブルボイラー
スチームワンドとスチームバルブ
5cm程度の小さな金属製のパイプで、一般的にはグループヘッドの側面から、または別のバルブヘッドから突き出ており、先端にはスチームを分散する穴が開いたチップが付いています。
ラテアートを意識したもの、使いやすさを重視したもの、耐久性を重視したものなど、多くのデザインがあります。
このスチームバルブは、モデルによってメインボイラー、スチームボイラー、サーモブロックのいずれかに配管で内部接続され、ミルクを泡立てるために使われます。
圧力計
圧力を測定し、表示するための機器で、通常はアナログのダイヤルが付いています。これにより、ショットの調整をより正確にできます。上位機種に搭載されているのが一般的です。
エスプレッソコーヒーを抽出するのに最適な圧力値は9~10気圧とされています。
極端に低い(4~6気圧)場合は挽き目が粗すぎる可能性があり、高い(12~16気圧)場合は挽き目が細かすぎる可能性があり、挽き目やタンピングの調整が必要です。
PIDコントローラー
PID(proportional-integral-derivative)は、エスプレッソマシンのマイクロプロセッサー制御の頭脳です。
旧式のシステムで使われていたシンプルな電気機械式サーモスタット制御よりも、ボイラーやサーモブロックの温度を正確に調節し安定させます。
PIDを搭載したマシンは、より安定したショットができ、ショットごとの温度回復時間を短縮することでより多く早くショットできるようになります。
以上がエスプレッソマシンの主たる構成要素です。
聞いたことはあったけど、こんな仕組みだったのか~と再認識したポイントもあったのではないでしょうか?
ということで、お待ちかね!さまざまな角度からベストなエスプレッソマシンをご紹介いたします!
ベスト オブ コストパフォーマンス デロンギ スティローザ
De’Longhi Stilosa
- ●セミオートマチック
- ●加圧式フィルターバスケット
- ●シングルサーモブロック
- ●マニュアル操作
デロンギ スティローザは、できる限り価格を抑えて本格的なエスプレッソを楽しみたい方におすすめのモデルです。
適切な挽き目のコーヒーと適切なタンピングが求められます。(モデルに関わらずエスプレッソマシンは良いグラインダーとの組み合わせが重要)
経験が豊富なバリスタでも、このマシンのコツを掴むまでに12ショットは失敗したとか・・・とはいえ、一度マシンに慣れてしまえば、簡単に満足のいくショットを淹れられるようになります。
マシンはすぐに加熱し、約 1 分で準備が整いますが、最初のショットの前に、システム内に水を移動させるためにポンプを呼び水する必要があります。
スチームモードへの切り替え時はさらに15~20秒必要です。基本的にはしっかりと仕事をしてくれますが、ラテアート品質のマイクロミルクフォームを作ることは難しいかもしれません。
朝に1杯だけといった頻繁には飲まないスタイルに最適ですが、高価なマシンに比べて頑丈ではありません。
プラスチックのような構造は長期的な使用には不向きで、バイブレーションポンプは、消耗した場合に買い替えを検討した方がいい可能性があります。
ポルタフィルターは、あらかじめ挽いたコーヒー豆や粗挽きのコーヒー豆も使用できる規格外のデュアルウォール加圧式(Pressurized)を採用しています。
付属のタンパーは軽量なプラスチックでタンピングが難しいかもしれません。ナイフの平端など水平にするための直線状の刃を用意することをおすすめします。
ブレビルのバンビーノプラスやガジアのクラシックなど、より作りが良く充実した機能を持つモデルと比べると、味は劣るかもしれませんが、この価格帯としてはしっかりした製品です。
少ない予算で、まさに家庭用としてのマシンを探している場合、スティローザは合理的なモデルと言えるでしょう!
ベスト オブ コンパクト ブレビル バンビーノ・プラス
Breville Bambino Plus
- ●オートマチック
- ●シングルサーモコイル
- ●PID温度制御
- ●デジタル制御
- ●プログラム可能なショット長、抽出温度、スチーム温度
ブレビルのバンビーノプラスは、エントリーレベルのコンパクトなエスプレッソマシンで初心者におすすめのモデルです。
スピーディな起動、自動化された機能、しっかりとした作りで、練習や推測に頼らずに高品質のエスプレッソが楽しめます。
この価格帯で同じような作りのマシンは、バンビーノプラスのようなデジタル制御や利便性を備えていないことがほとんどです。
バンビーノプラスは、ブレビルがより高価で大型のマシンで使用している多くの機能が組み込まれているため、ショットを簡単に制御できます。
さらに重要なことは、「サーモジェット」サーモコイルがわずか 3 秒で加熱するため、電源を入れたらすぐにショットを淹れる準備が整うことです。
従来のエスプレッソマシンの多くは、温度が上がるまでに10分以上かかっていました。
内蔵のPID制御が温度を正確に保ち、ショットの温度やタイミングを選んでプログラムすることができます。
このプロセスは自動化されており、ボタンを押すだけで、あらかじめ設定された通りにマシンがショットを引き出します。
マシン上のすべての操作は、フロントパネルのライトアップされたボタンですべてデジタル操作されます。専用の電源スイッチもありません。
付属の非加圧バスケットで適切なコーヒー粉を使えば、平均以上のエスプレッソと良好なクレマが得られます。
上下に調整可能なワンド を備えたスチームは、ラテやカプチーノに適しており、紅茶を入れる場合はお湯の設定も可能ですが、本当にカフェのような品質の微発泡を実現するには苦労するかもしれません。
水タンクは適切な大きさで取り外しも簡単ですが、マシンの背面が壁に近い場合は取り外しのために本体を回転させる必要があります。
付属のタンパーは軽く、キャリブレーションがない、ブレビルでは標準サイズとなる54mmです。
ドリップトレイは簡単に取り外して掃除できますが、コンパクトなモデルゆえ、小さくてすぐにいっぱいになります。数回のショットごとのお掃除推奨です。
最適なパフォーマンスが得られる挽き目のコーヒーを求めるのであれば、このマシンとペアになる適切なグラインダーの検討をおすすめします。
バンビーノプラスは、ガジアのクラシックと同じような価格帯ですが、まったく異なるマシンです。
ガジアは、伝統的なデザインと全アナログ制御。趣味でエスプレッソに親しみたい人向けです。
ブレビルのバンビーノプラスは、サーモコイルを高速で加熱する設計とデジタル操作の便利さが売り。
バリスタのスキルを身につけることなく、とにかく美味しいエスプレッソを最小限の手間で飲みたい人向けで、まさにそれを実現しています。
ベスト オブ コーヒー入門 ガジア クラシック プロ
Gaggia Classic Pro
※2023年に新しいモデル エボ プロが販売開始されています。
- ●セミオートマチック
- ●シングルボイラー
- ●アナログ制御
ガジアのクラシックプロは、伝統的な家庭用エスプレッソマシンで、多くのエスプレッソ愛好家が本格的なコーヒーを趣味にする入り口になっています。
高度な電子回路はなく、3つのプラスチック製ロッカースイッチで操作します(オン/オフ、ショットプル・ポンプ、スチームモード)。
手動のスチームバルブは、プラスチックのノブを開閉してスチームのレベルをコントロールします。
ブレビルのバンビーノプラスとは全く異なり、より多くの努力が要求されますが、それに応じてより良い結果も得ることができます。
ガジアはセミオートマチックなので、ショットの長さは手動でコントロールします。
良さを活かすには抽出について少し学ぶ必要がありますが、スキルを磨けば、シンプルなデザインとコントロールで素晴らしいコーヒーを淹れられることに気付くはず。
バンビーノプラスのようなオートマチックでは得られない、温度、挽き目、圧力といったエスプレッソ抽出の変化を感じられることでしょう!
より高度なモデルが必要かどうかはクラシックプロをしばらく使ってみてから判断することをおすすめします。家庭用エスプレッソマシンはこれ一択という人も少なくありません。
ガジアの歴史は長く、スペアパーツやアップグレードのキットの入手も容易です。また、非常にシンプルな構造なので、日常使いの工具で修理や改造を行うこともできます。
クラシックプロの100mlボイラーはアルミニウム製で外部加熱式です。パワーがあり、容積が小さくより早くスチーム温度に到達するので初心者にもおすすめです。
ベスト オブ グラインダー付マシン ブレビル バリスタプロ
Breville Barista Pro
- ●オートマチック
- ●グラインダー内蔵
- ●シングルサーモコイル
- ●PID温度制御
- ●デジタル制御
- ●LCDディスプレイ
- ●プログラム可能なショット長、抽出温度、スチーム温度
機械的な観点では、バンビーノプラスとバリスタプロはほぼ同じで、抽出できるエスプレッソのグレードも同等。もしグラインダーの準備がなければ、グラインダー付のバリスタプロがおすすめです。
バンビーノプラスと同じくサーモジェット加熱システム搭載しているため、マシンを起動して数分でエスプレッソを楽しむことができます。(エスプレッソやラテをより早く楽しむにはスーパーオートマチックを使うしかありません・・・)
一体型のグラインダーはデジタル制御で30段階設定可能。クレマが良く出る設定のおすすめは調整可能なドージングタイマーを15秒、グラインドのレベルは5。ぜひ試してみてください。
バンビーノプラスと同様に、操作部は照明付きです。見やすいハイコントラスト液晶と、ショット温度とショットの長さを調整できる自動ショットコントロールもありがたい。フローサーはラテやカプチーノに適していて、十分な大きさの水タンクは取り外しが簡単です。お手入れしやすいドリップトレイも便利。
バリスタシリーズは、独自のウォーターフィルターが必要で、満タンの水タンクで30回使用したら(または2か月で)交換が推奨されます。
バリスタプロは、バリスタシリーズでは真ん中のグレードです。下位モデルのバリスタエクスプレスには、バンビーノプラスやバリスタプロに搭載されている急速加熱サーモジェットシステムはありません。
バリスタタタッチは、より高度なプログラム機能とカラータッチスクリーンディスプレイを備えています。
ベスト オブ ハイエンドシングルボイラー イーシーエム カーサブイ
ECM Casa V
- ●セミオートマチック
- ●シングルボイラー
- ●圧力計
- ●アナログ制御
- ●デジタル制御
堅実で信頼できるドイツ製マシン。使って楽しいだけでなく、作業する喜びもあり。もちろん、甘く、クレマが豊富なショット、素早くマイクロミルクフォームができるスチームでおいしいコーヒーも淹れることができます。
カーサVの操作系はすべてアナログで、主電源、ショットプル、スチームモード、ウォーターモードのプッシュボタンがあります。フルスチールで、内部のスペースもゆったりしていて非常に開けやすい構造。温度を維持するためのPIDは搭載されていませんが、サーモスタビライザーも必要ないくらいのすばらしい設計と言えます。また、圧力計も搭載されており、ショットのタイミングをより良く計ることができます。テクニックを向上させたいなら、ショットの流れが適切か判断するため、圧力を知ることが重要。
ECMは、よりベーシックなシングルボイラー機に比べ、よりパワフルで、より素早くスタートできます。ウォームアップの目安は30秒。ガジアのクラシックに加え、多くのサーモブロック/サーモコイル・マシンよりもさらに短い時間です。
カーサVのローテク、完全な電気機械設計は、日常的なメンテナンスの他、バイブレーションポンプの交換やバルブの交換など、好きなひとには夢のような作業になるはず。機能が豊富なマシンにはない醍醐味です。
ベスト オブ デュアルボイラー ランチリオ シルビアプロエックス
Rancilio Silvia Pro X
- ●圧力計
- ●プレインフュージョン
- ●PID温度制御
- ●アナログ制御
- ●デジタル表示付きマニュアルショットタイマー
抽出とスチーム、2つの温度をPID制御するデュアルボイラーのシルビアプロX。
旧型のシルビアプロ同様の性能を持ち、豊かなクレマと優れたショットを作り出します。専用の強力なスチームボイラーは、ショットを引いた後すぐにスチームとお湯が使えます。コンシューマー向けというよりカフェレベルのシステムで、他のシングルボイラー機よりも優れたマイクロミルクフォームを作り出します。
シルビアプロXは、シルビアプロをベースに、プレインフュージョン(ショットを引く前の蒸らし)と圧力計(グループヘッド内の圧力を読み取る)が追加されています。これにより、ショットの状況が把握でき、よりコントロールしやすくなっています。技術の向上を目指したいなら、シルビアプロからアップグレードする価値があるモデルと言えるでしょう。
システムの使い方は至ってシンプル。PIDメニューで抽出グループとボイラー温度を設定したら、1つのボタンでショットを開始し、同じボタンで停止させることができます。
デジタル表示のショットクロック(コーヒーボタンを押すとショット時間がカウントされる)が搭載されており、他の競合モデルのように自動では終了せず、抽出のプログラムもありません。何度か抽出すれば、どれくらいの時間が必要なのかがよくわかるため機能に不足は感じないはずです。
ちなみに、スチームボイラーは温まるまで10分ほどかかるので、ラテを何杯も作ることがわかっている場合は、オンにしておくことをお勧めします。(スチームボイラーはメインボイラーとは別にオフにできます)
シルビアプロXは2Lの水タンクを備えています。すべてのパーツにアクセスしやすいすっきりとした内部レイアウトもありがたい。カラーはブラック、ホワイト、ステンレス、ピンクの4色から選択できます。
エスプレッソ愛好家の中には、マシンの内部構造に興味が湧いてくる方も少なくないので、最初は必要ないと思っていても、自分で修理ができるマシンは後々大きなプラスになるポイントかもしれません。
ベスト オブ スーパーオートマチック フィリップス 3200 ラテゴー
Philips 3200 LatteGo
ボタンひとつで挽き、注ぎ、ショットを引き、ミルクを泡立てるスーパーオートマチック(全自動)マシン。
オートマチックと同等のショットやミルクのクオリティを求める場合、最高クラスのモデルを用意する必要があるでしょう。ですが、挽きたてのコーヒーを飲みたい人や、キューリグやネスプレッソのようなポッドシステムの即効性を高く評価する人にとっては、堅実な選択と言えます。
フィリップスの3200 LatteGoは、価格に対する機能と性能はベストバランス。基本的なガジアやジュラのスーパーオートよりもコンパクトで、クレマが良く、ショットの温度と風味が良い、程よいクオリティのエスプレッソを抽出できます。
十分な水タンクは取り外しが簡単で、シンプルなライト付きのプッシュボタンは、簡単な操作で自分好みの一杯を作ることができます。ホッパーの容量は他と比べて大きいとは言えません、ロードするのは簡単です。あらかじめプログラムされたドリンクの種類(エスプレッソ、コーヒー、アメリカーノ、マキアート、カプチーノ)は、濃さ・水の量・ミルクの量が簡単に調整できる設定で、プログラムの実行前に各ドリンクの種類をカスタマイズできます。
ホットプラグ式のミルク泡立て器/ヒーターと容器のアタッチメント “LatteGo “は、他のスーパーオートマチックと比べて、ホットミルクの安定性が優れていると言えますが、プラスチック製で注ぎ口は常に洗浄する必要があります。Jura D6のように容器がマシンの側面に配管されているデザインの方が故障や汚れの心配は少ないものの、総合的な評価は3200 LatteGoが上と言えそうです。
一般的なスーパーオートマチックと同じく、コーヒーの粉を捨てるホッパーとドリップトレイは定期的に掃除の必要がありますが、引き出して空にして洗うだけなので手間ではありません。設定した時間が経過するとマシンは自動的にオフになりますが、すぐに再起動できます。
以上、カテゴリー別のベスト オブ マシンとして7つのモデルを紹介いたしました。
マシンを構成する要素の説明も含め、かなりのボリュームになりましたが
使うより悩ましいかもしれないマシン選びには、エスプレッソの知識が役立つはず。
モデルによってリーズナブルとはいえ、決して安くはない買い物になるので
選んでよかったと思える1台に出会って欲しい!と願わずにはいられません。
エスプレッソマシンは日々進化しているので、次回のベスト オブ~は変わっているかもしれません。
しかしながら、今回選ばれたマシンには長い間愛されているモデルもあります。
リーズナブルなマシンをリニューアルして使う、ハイクラスのマシンをメンテナンスしながら使う
それ以外にもエスプレッソとの付き合い方は人それぞれだと思います。
そのときのスタイルに合わせてエスプレッソライフを楽しめるのがいちばん。
サポートが必要な際はお気軽にご相談ください。